レースレポート
JGTC 第2戦 富士

[その1(いでっち)]

5月3日(金)

GWの富士は毎年大混雑。明け方(?)3:00にサーキットに到着し、5:00にゲートオープン。夜中は冷え込んだものの陽が出ると暑いくらいの天気に。これだから山の天気は分からない。

1回目予選

1コーナーの外側で観戦。場内放送が聞こえない(--;;。500クラスの占有走行は10:50から。数台のマシンがアタックを開始するが、上位陣は他のチームの出方を窺っているのかなかなかコースインしない。1号車は走行開始から10分後にようやくコースイン。立川選手はすぐにトップタイムを更新するが、わずかな走行時間にめまぐるしく順位が変動する。結局6号車が1回目の予選で暫定PPを獲得し、1号車は2番手でアタックを終えた。
300クラスの走行を挟み、赤旗の影響で11:38から混走に。竹内選手がマシンに乗り込んだ。いつもなら竹内選手は数周だけ走り、基準タイムをクリアすると立川選手に交替することが多いが、今回は最後まで竹内選手が走り、決勝へ向けてセッティングを詰めていたようだ。

2回目予選

Bコーナー内側で観戦。ここも場内放送が聞こえない(--;;。15:00から2回目の予選が開始された。混走の時間帯は前半10分を竹内選手、残りを立川選手が走る。順位も8番手止まりなことを考えると、この時点でも決勝用の走行のようだ。
15:40から500クラスの占有走行は立川選手がアタック。スープラ勢とマクラーレン勢がしのぎを削る残り5分の勝負! 6号車が目の前を通過し、1号車は戻って・・・来ない??? 最後のアタックはそのまま終了。残念ながらPP獲得ならず。PPは6号車、1号車はフロントローからのスタートということになった。
あとから88号車と接触していたことを知った。二人とも気合いが入っていただけに、思わぬアクシデントにPPを阻まれてしまったのが悔やまれる。でも決勝のセットにはかなり手応えを感じているようなので、114周の長いレースをコンスタントに走り続ければ結果を勝ち取れるであろう。

5月4日(土)

昨日の暖かさとはうってかわって、いつ雨が降り出してもおかしくないような曇り空。どのタイミングで降り出すのか、レースへの影響はあるのかが気にかかるところ。

フリー走行

あまりの人混みに移動を断念し、決勝を観戦する1コーナーでフリー走行も見ることに。8:45にコースオープン。立川選手がドライブする。
8:54に16号車が1コーナーでスピンしたため赤旗が掲示される。9:10から残り20分でフリー走行が再開された。各チーム決勝でのセッティングを確かめながらタイムを上げていく。1号車はトップタイムでフリー走行を終了した。6号車が2番手につけていることから、やはり決勝はau対エッソの一騎打ちになりそうだ。決勝の激しいバトルに期待が高まる。

決勝

ウォームアップ走行は立川選手。ということはやはり昨年同様に立川選手がスタートドライバーを務めるということのようだ。そして最大のライバル6号車は脇阪選手。3番手の76号車は服部選手がスタートドライバー。気温は低いがレースは熱くなりそうだ。

13:40ローリング開始。ゆっくりとコースを周回しペースカーがピットに戻りグリーンシグナルが点灯! 1コーナーは大きなアクシデントも無く、ほぼグリッド順のまま目の前を通過していった。2周目に1コーナーで64号車と16号車がNSX同士で接触。16号車はすぐにコースに戻ったが、64号車がグラベルにはまってしまったためSCが導入された。順位は6、1、76、30、36、8、39、12。SCの間にダメージを受けた16、64、37がピットに入りタイヤ交換などを行った。
5周目にレースが再開。トップの座を虎視眈々と狙う立川選手は7周目で勝負に出る。6号車の横に出て一気にオーバーテイク! そのままじわじわと6号車との差を広げ、独走態勢を築いていきたいところである。中盤では36、39、23の3台による4位争いなどあちこちでバトルが繰り広げられている。立川選手は300クラスの周回遅れをかわしながらも、6号車との距離を広げている。1周ごとに1秒の差を付ける走りで27周目には12秒差にも広がった。

30周を前にしてルーティーンのピット作業を行うチームが出てくる。32周目に39号車が左リアタイヤをバーストしてスロー走行。ダンロップコーナーにタイヤを落としてしまったために33周目に2回目のSCが入った。そして各チームはいっせいにピットイン。当然1号車もピットに戻り、立川選手から竹内選手にドライバー交替。トラブルもなくトップでコースに戻ることが出来た。同じ周に6号車もピットインし、脇阪選手から飯田選手に交替。6号車の左フロントのスポイラーがはがれているのが気にかかる。3番手の76号車は給油とタイヤ交換だけを行い、そのまま服部選手がドライブするようだ。
立川選手が広げたマージンは無くなってしまった。36周目にレース再開すると、76号車が6号車を抜いて2位に浮上。76号車は最終コーナーでは1号車の後ろにピタリとつくが、ストレートは1号車が速い! 3番手の6号車もつかず離れずの位置で様子をうかがっており、緊迫した状態が10周以上も続く。
48周目に39号車がダンロップコーナーで止まってしまったため、49周目に3回目のSC。39号車は不運だったが、竹内選手にとっては今回のSCは救いの神となるか。
52周目にレース再開。76号車は1号車の背後にぴったりとくっつき、Aコーナーでオーバーテイク! 1号車は6号車にも抜かれてしまい3位まで落ちてしまった。しかしまだまだレースは中盤、このままで終わる竹内選手ではない。57周目にストレートで6号車を抜いて2位に! トップを走る76号車との差は3秒弱。再びトップで立川選手と交替するためにも、ここは何としてもがんばってもらわねば!

観客席には冷たい風も、auチームには追い風になっていたようだ。60周目になんと76号車が1コーナーでコースアウト!! 左フロントタイヤをパンクしてしまい、スロー走行を余儀なくされた。その結果1号車が再びトップに返り咲き、6号車が2位に戻った。76号車はピットに戻りタイヤを交換。ドライバーも服部選手から田嶋選手へと交替した。
そして66周目に6号車に黒旗が掲示され30秒のピットストップペナルティが課されてしまう。ピットレーンで8号車と接触したことによるペナルティとのこと。フロント破損の原因はその接触にあったようだ。ここで2番手に浮上した36号車との差は9.164秒。38周以上走ればドライバー交替が行われるので、そろそろ2回目のピットインだが、このまま行けば無事に立川選手にトップでバトンを渡せそうである。

71周目に36号車がピットインを行うと、25号車、18号車、64号車もピットイン。1号車は74周目にピットに入り、再び立川選手がステアリングを握りコースに戻った。
しかし、勝利の女神は簡単には微笑まなかった。ピットアウトした64号車がそのまま1コーナーに突っ込んでグラベルにはまってしまったため、75周目に4回目のSCが!! まだ2回目のピット作業を済ませていなかったチームは続々とピットに入る。SC導入中にピット作業を行ったマシンが優位な展開になり、トップは8号車、2番手に16号車とNSX2台が前に出る結果になってしまった。先に作業を済ませた1号車は3番手、36号車は4番手に下がってしまった。

80周目にレース再開される。81周目に8号車が1コーナーでミスしたため、16号車がトップに浮上。16号車と1号車の差は7秒差。トップと1号車の間には周回遅れのマシンが何台もいるが、前半の立川選手のペースで走れれば追いつくのは時間の問題であろう。富士はトヨタのホームサーキット。NSXに2連勝をさせるわけにはいかないのだ。
立川選手は期待通りみるみる上位との差を縮めていく。86周目にはトップの16号車との差は3.555秒。2番手の8号車はもう目の前である。いつでも勝負に出られる体制を整えた87周目、88号車が最終コーナーでスピンをし、パーツをコースに落としてしまったために5回目のSCが導入される。
今回のSCではトップ3台の間に周回遅れはいない。90周目に再スタートが切られると、立川選手は91周目のストレートで8号車を抜いて2位に! すぐに16号車とテールトゥノーズの状態になり、92周目にAコーナーでオーバーテイクして自力でトップを奪い取った!! あとは後方との差を広げて、余裕でチェッカーに備えるだけである。

au-racingの勝利を確信しはじめ胸が高鳴る100周目、まだまだレースは終わっていなかった。36号車が300クラスのマシンと接触し、6回目のSCが導入されたのである。上位は1、16、8、6、22、100。1号車と16号車の間には300クラスが3台。スープラの速さなら、16号車が300クラスを追い抜く間に、差を広げることが出来るであろう。
105周目にレース再開。1号車は後ろのマシンと大きく差をつけて1コーナーを通過。昨年のレースはラスト2周の勝負になったが、さすがにもうSCは出ないだろう。出ないで欲しい! 後方ではペナルティを受けた6号車の猛烈な追い上げが場内を盛り上げていた。108周目に8号車を抜いて3位になると、16号車にも食らいつき、ファイナルラップの1コーナーで見事16号車をオーバーテイクして2位に浮上! だが脇阪選手の追い上げもここまで。auセルモスープラが114周の長い長いレースをまとめ、トップでチェッカー!!! 昨年喉から手が出るほど欲しかった「優勝」をやっと手にすることが出来た。

ウィニングランを終えてマシンをストレートに停めた立川選手を竹内選手が笑顔で出迎える。そして長年ペアを組んでいる二人ががっしりと抱き合った姿が感動的だった。表彰台では、6回ものSC導入というサバイバルレースを勝利で収めた二人の表情はとてもすがすがしく、今後のレースへの自信をみなぎらせていた。シリーズランキングでもトップに立ち、次戦では70kgのウェイトを積むとは言え、作戦通り着実にポイントを獲得していくに違いない。

立川選手、竹内選手、チームセルモの皆様、そしてau-racingを支えている皆様、優勝おめでとうございます!! 今年は何度もこの喜びを味わえるように、そして2年連続チャンピオンを獲得して最高の喜びを勝ち取れるように、これからもがんばってください。

reported by idetch

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