レースレポート
Formula-Nippon 第7戦 富士

[その1(いでっち)]

いでっち

9月1日(土)

公式練習

早朝サーキットに到着した時には薄曇りだった天気も、9:15からの公式練習の時には晴れ模様。雨露に濡れる草をかき分けてBコーナーの内側で観戦。
立川選手は他のドライバーよりも2周くらい遅れてのコースイン。しかし、開始早々に野田選手がコースアウトして赤旗中断。野田選手が自力でピットに戻り、再び再開するが、立川選手はなかなかコースに現れない。そして数周するとすぐにピットに戻ってしばらく出てこないでいる。走っている時間よりもピットでの作業の時間の方が長かったのではないだろうか。タイムもトップの本山選手から1秒以上遅れて14番手に終わった。
富士では毎回調子の良い走りを見せているので、今回こそ久しぶりの表彰台を狙う絶好のチャンス。いつも予選の2回目、そして決勝ではしっかりと速い車を仕上げてくれるエンジニアさん達なので、きっと今回も大丈夫に違いない。

1回目予選

お天気は良く、今日は雨の心配はなさそう。乾いた涼しい風が秋を感じさせる。1回目の予選はヘアピンで観戦することにした。
13:35から走行開始になり、マシンが続々と走り始めるが、最初の集団に立川選手の姿はない。公式練習と同様に3分ほど遅れてのコースイン。2周ほど走ってすぐにピットに戻った。その後も2〜3周走ってはピットで作業をするということを繰り返しているところを見ると、マシンがタイムアタックを行う段階までできていないようである。それでも最後のアタックで8番手まで上がってきたので一安心。
雨さえ降らなければ、1回目の予選は公式練習のようなもの。2回目の残り5分で一番良いタイムが出れば良いのだ・・・とは思うものの、ライバル達がバンバンタイムを出していくのはちょっと悔しい。本山選手、脇阪選手、道上選手が上位にいるのはいつものことだが、今回目立っているのがカーティケヤン選手とクート選手。クート選手はG-Forceからの乗り換えがうまくいったのであろう。新たな強敵出現か?

2回目予選

夕方に近づくと、あっというまに肌寒くなってしまう富士。路面温度も下がりここからが本番である。2回目の予選は15:25から。グランドスタンドで見守ることにする。
コースインした立川選手は最初のアタックでいきなり5位のタイムを出す。まだ総合タイムでは上位に入らないようだが、まずまずのスタート。ピットに戻るとタイヤ交換をして再びコースイン。この走行は軽く流しただけのようで、すぐに戻ってきてウィングの向きなどを調整していた。
走行開始後19分、立川選手は再びコースに入る。しかし21分に道上選手がスピンをしたため赤旗中断。立川選手は6番手のタイムを出したが、いったんピットに戻ることになってしまう。道上選手は今回から新しいスポンサーもついて、かなり気合いが入っていた様子であったが、ここでリタイア。残念なことに1回目の予選のタイムが最高タイムということになってしまった。

残り24分で予選が再開されるとタイムを更新するドライバーが続出する。1'16.840のトップタイムを出した本山選手をはじめ、脇阪選手、ファーマン選手、クルム選手が常に上位に顔を出している。そして正美選手、カーティケヤン選手、クート選手の番号も電光掲示に出てくるようになった。立川選手の「3」はいつ電光掲示に表示されるのか・・・と待ち望んでいた予選再開後2回目のアタックで、1'17.258のタイムを出し4番手に浮上!その後も順位は変わらないが順調にタイムを刻み、トップに詰め寄っていく。
残り8分で最後のタイヤ交換を行いコースイン。その直後に脇阪選手がトップタイムを更新。ファーマン選手も2番手まで順位を上げる。立川選手は最後に16秒台のタイムを出すが4位でチェッカー。そしてチェッカー1秒前に最後のアタックに挑戦した本山選手は、わずかに脇阪選手に及ばず2番手でチェッカーを受けた。

朝からかなり苦労していたので、無事2列目からのスタートが決まり本当に良かった。でもやっぱり3位になって予選後の記者会見に出て欲しかったなぁ・・・。

9月2日(日)

フリー走行

Aコーナーで観戦。9:30に走行開始。立川選手もすぐにコースイン。昨日の予選でまずまずのタイムを出した立川選手、15分ほど走り続けていたが、なかなかトップ10に入らない。でもこまめにピットに入るわけでもなく、何かを確かめながらじっくりと走っている様子である。
残り10分はピットを出たり入ったりと前半とは正反対のあわただしい走行。もしかして決勝セットはこれから作るのかしら?と一抹の不安がよぎるが、まあきっと大丈夫!

決勝

決勝前のドライバーズパレードはMR-Sに乗って行われ、手を振りながらサーキットを1周した。晴れてて良かった。

決勝は1コーナーで観戦。ウォームアップ走行を終えて、14:30にフォーメーションラップに入る。全車問題なくグリッドに戻り、いよいよスタート!
なんとフロントローの本山選手がホイールスピンしてスタート失敗。大きく出遅れてしまう。脇阪選手はそのままトップをキープし、2番手はファーマン選手。立川選手は一つ順位を上げて3位に浮上。表彰台への期待が一気にふくらむ。が、本山選手は急遽作戦を変更して1周目でタイヤ交換を行い、脇阪選手と見えないバトルを繰り広げることになる。
立川選手は2周目の1コーナーでファーマン選手を抜いて2位に。当面の敵、脇阪選手を追いかけるレースになる。しかし、絶好調の脇阪選手は、少しずつ立川選手との差を広げ、独走態勢を築き始めていた。後方では序盤からあちこちで激しいバトルが繰り広げられ、接触してスピンするマシンも続出する。また、出遅れた選手達が早いタイミングでタイヤ交換を行っているので、上位を走っていると言っても油断はできない状態である。

立川選手は18周目にピットイン。本山選手は最終コーナーを立ち上がってくる。ミス無くタイヤ交換を終えてコースへ復帰。そして本山選手の前で1コーナーに!!タイヤが温まっていないので翌周の1コーナーで本山選手に抜かれてしまうが、20周目には再び1コーナーで抜き返した。その直後、ちょうどタイヤ交換を終えてコースに復帰したファーマン選手と本山選手が接触してしまい、ファーマン選手がコースアウト。7位まで順位を落としてしまった。フロントウィングが傾いてしまったが、そのまま走行を続けることができた。
トップの脇阪選手は19周目にタイヤ交換を行い、そのままの順位でコースに戻る。20周を終えた順位は、脇阪、立川、本山、クルム、クート、服部、ファーマン、正美、野田、山西。

後半は脇阪選手がファステストを連発し、立川選手に4秒以上の差をつけていく。立川選手はほぼ独走状態で走っていたが、ペースの上がらない本山選手を追い抜いたクルム選手が、じりじりと迫ってきた。クルム選手に追いつかれないことを祈りながら、2位チェッカーを近くで見るためにパドックへ移動し、残り5周をピット上から見守る。
ピットからは、時折ガッツポーズなどを出しながら、無線で指示を出す近藤監督の姿が見える。クルム選手は猛烈な勢いで立川選手との差を詰めていたが、周回数を考えると立川選手に追いつくのは難しいようだ。あとは前を見てチェッカーを受けるだけ・・・。あと3周・・・あと2周・・・ファイナルラップ・・・そして2位でチェッカー!立川選手は文句なしの走りで2度目の表彰台に立つことができた。

もてぎの2位のあとは惜しいレースが続き、立川選手もチームも待ち望んでいた表彰台。監督からもプレッシャーをかけられ、今回のレースは相当の意気込みで走っていたに違いない。チームが一丸となって勝ち取った準優勝は、次戦に繋がる大きな自信となったであろう。近藤監督が表彰台の真ん中に立つ日も、そう遠くはないはずだ。


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