レースレポート
Formula-Nippon 第2戦 茂木

[その1(いでっち)]

いでっち

4月21日(土)

公式練習

4月の後半だというのに、真冬のような寒さ。決勝日は雨という予報もあり、生観戦にはちょっと厳しい天候。でも雨が降れば決勝は面白くなりそう。
茂木では開幕前にテストがあったが、立川選手が新車で走るのは今回が初めて。新しいチーム体制ということもあり、開幕戦同様、ベストのセッティングを見つけだすには少々時間がかかりそうな予感。コースを走るよりもピットで作業をする時間の方が長く、タイムもまだまだ上位には及ばない。最終的に16位で走行を終えたが、でも開幕戦の時は予選2回目の最後にきっちりとタイムを出してきたのだから、今回も心配することは無いのだろう。

1回目予選

午前中から気温も路面温度も一向に上がらない。OlympicKONDOレーシングは2台とも苦戦を強いられている。立川選手のコーナリングは、急ブレーキの後にグイッと切り込んでいくのが特徴だが、今回の予選では、まだ思い通りの走りをすることができないようである。公式練習同様に、何度もピットに入りセッティングを詰めている。そして残り10分というところで、8位に浮上。やっと電光掲示板の上位に「3」が登場した!しかし、トップの本山選手とは1秒の差がある。抜けない茂木では予選でどれだけ上位にいられるかが、勝負のポイントになってくる。さて、立川選手はこの差を2回目の予選でどのくらい縮めることができるのか。

2回目予選

16:00から始まった2回目の予選。寒さはますます厳しくなってきた。暑すぎてもタイムはなかなか出せないが、寒すぎてもタイヤが暖まらないので大変であろう。
立川選手は最初に数周走ったものの、その後はアタックラップにはいる前にピットに戻ってしまう。うーん、もどかしい!!しかし上位陣も1回目の予選のタイムを更新することができないでいるので、立川選手にも追いつくチャンスはまだまだある。
残り5分でニュータイヤに履き替えてコースに出る!2周のアウトラップでタイヤを暖め、最後のアタックへ!走りはかなり安定してきたように見えるが、大混雑のコースでのアタックは34秒台まで後一歩の1′35″010で、10番手のタイムで終わった。
トップは1回目に続いて本山選手、2番手は有言実行でチーム体制を一新させた脇阪選手、3番手はルーキー荒選手が入り、調子の良さを見せている。野田選手、松田選手、そして5ZIGENの2台も立川選手の前に立ちはだかっており、立川選手の後ろの道上選手までがトップから1秒以内につけている大混戦。決勝は立川選手のスタートダッシュと奇跡を信じるしか無いのか?!雨降れ〜雨降れ〜!と思わず雨乞いをしながらサーキットを後にした。

4月22日(日)

フリー走行

前日の祈りもむなしく、雨雲は通り過ぎていってしまった。雲の切れ間からは日差しも出てきて、予想外の暖かさ。フリー走行は9:50から30分間行われた。決勝セットもこの30分で合わせなければならない。前半はやはりマシンを仕上げることに専念しているようだ。それでも最終ラップでは7位のタイムを出すことができた。
フリー走行後に板東親分のインタビューに答えていたのだが、そのときも終始笑顔で、決勝には自信がある様子。これは雨ではなくても良いことが起こるのかも・・・。

決勝

決勝開始は14:30。気温は22度と上がったが風が強くなってきた。荒選手のマシンが車検に引っかかり最後尾スタートとなったため、予選10番手だった立川選手は9番グリッドからのスタートとなった。直前の情報では全車ソフトタイヤでの走行ということである。
フォーメーションラップを終え、スタート!15位スタートの土屋選手がスタートできず、大きく出遅れてしまう。そして3コーナーでは多重クラッシュが起こり、荒選手がそのままリタイア。全く昨日からついていない。影山正彦選手、野田選手もこの周でリタイアをしてしまった。1周終えた時点でトップは本山選手がキープ。2位も脇阪選手で変わらず。以下ラルフ・ファーマン選手、松田選手、服部選手、クルム選手、そして立川選手は7位、いきなり入賞まであと一歩のポジションになり、クルム選手、道上選手とともに6位争いを繰り広げる。立川選手は何度もクルム選手のスリップに入るが、メインストレートではなかなか前に出ることができない。だが、7周目の1コーナーで一瞬の隙をついて6位になると、あっという間に引き離し、さらに上位を目指していく。確かに決勝の走りは悪くない。立川選手や近藤監督が何度も口にしていた「勝てる体制」が嘘では無いことを証明している走りである。

トップの2台は一定の間隔で独走を続けているが、ファーマン選手、松田選手、服部選手の3位争いも熾烈になっていた。同じチーム同士の争いを避けるためか、松田選手が11周目で早めのタイヤ交換。続けて12周目には服部選手もタイヤ交換を済ませる。そして事件はその直後に起こった。なんと13周目にトップの本山選手に、そして15周目には2位の脇阪選手に黒旗が出され、10秒間のペナルティストップが課せられたのである。スタートダッシュの2台はフライングと判定されてしまった!
上位2台が後方に退き、16周目にファーマン選手がタイヤ交換を行うと、ラップリーダーは立川選手に!!前に誰もいない状態でひたすら自分のペースで突っ走っている。タイヤ交換のあやとは言え、チーム移籍後2戦目でトップを快走する瞬間を見ることができるとは!暫定2位の道上選手も17周目にタイヤ交換を終え、上位陣でタイヤ交換を行っていないのは立川選手だけである。トップのファーマン選手との差は23秒程度。ピットイン後にトップに出るには少々足りないか。タイヤはそろそろ厳しくなってくる時期だが、どのくらい粘ってマージンを取ることができるか・・・。
22周目に立川選手はついにピットイン。タイヤがはまらない、エンジンがかからない、などのイヤな思い出が一瞬頭をよぎるが、何の問題もなくタイヤを履き替えコースに戻った。さて、ポジションは??1コーナーで松田選手の前に出た!!暖まっていないタイヤで3位を守りきることができるのか?この1周が勝負である。2コーナー、3コーナーと必死に抑え、130Rへ。私たちの席からは見えないS字からヘアピンの間も乗り切り、無事に3位でメインストレートに戻ってきた。ここまで来ればもう安心である。松田選手との差も少し広がってきた。表彰台がまた一歩近づいてきたぞ!!

27周目、6位を走行中だった道上選手がスローダウン。開幕戦の参戦を断念したため、今回初めて新車での決勝だったのだが、残念なリタイアとなってしまった。そして30周目にはトップを走っていたファーマン選手が突然のスローダウン。どうやらギアのトラブルのようだ。トップを服部選手に明け渡し、立川選手、松田選手の後ろ4位でしばらく走行していたが、35周目にリタイアしてしまった。
気がつけば、上位陣に次々とアクシデントが降りかかり、トップは予選8位だった服部選手、2位に予選9位の立川選手という大波乱の展開となった。服部選手とは3秒ちょっとの差。残り10周はひたすらポジションを守ってトラブルも何も起こることなくチェッカーを受けることを祈るのみである。あと5周・・・あと3周・・・そしてファイナルラップ!この1周だけ乗り切れば、夢にまで見た表彰台が待っている!!ダウンヒルストレートを下って90度コーナー、ビクトリーコーナーを曲がってメインストレート、そして見事2位でチェッカー!!

ウィニングランを終え、表彰台の下に戻ってきた立川選手はあっという間にチームスタッフ、RQたちに囲まれて表彰台に先導されていく。本人もファンも「ここまで長かった」というように、FNにデビューしてから何度も優勝候補に名前を連ねていながらも、不運に泣かされてきた立川選手。やっと実力に結果が追いついてきた。嬉しそうではあったが、決して満足している表情ではない。まだシーズンは始まったばかり。服部選手の連勝を阻止し、チャンピオン争いを制するために、表彰台の真ん中を目指してがんばれ!!


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