
Formula-Nippon 第6戦 菅生
[トークショー][かもさん]
- 司会:
- 皆様、お待たせいたしました〜。トークライブ第2弾ということで、これからの時間も素敵なゲストをお迎えしております。決勝前の貴重な時間を削ってこちらにもお越し頂いているんですが、まずはモータースポーツジャーナリストの永田さんに再びこちらのステージにお越し頂きたいと思います。永田さんお願いしま〜す。
- 永田:
- はい、呼ばれました。
- 司会:
- 呼んでみました。今日はもう、盛りだくさんの内容で。
- 永田:
- (前のステージ、ARTA鈴木亜久里監督と5ZIGEN木下監督のトークショーについて)楽なのよ。しゃべる二人だから。あれ、ほっとくとずっとしゃべってますから。レース中もたぶんしゃべってると思います。
- 司会:
- お話がかなり膨らんでいたようで・・・。今回は、若いお二人が。
- 永田:
- アイドル系二人が。
- 司会:
- アイドル系お二人。カメラを持参の女性のファンの方がたくさんいらっしゃるのですが、さっそくお呼びしたいと思います。チームルマンの五十嵐勇大選手とコスモオイルセルモの立川祐路選手で〜す。(二人登場)
- 永田:
- さわやかな二人が。どうぞおかけください。
- 司会:
- よろしくお願いいたします。
- 永田:
- お疲れのところすいませんねぇ。でも昨日は久しぶりに記者会見でお会いできましたから。
- 立川:
- そうですね。やっと。
- 永田:
- やっと会えましたよ、あの席で。会ってないんだもん、ずっと。
- 立川:
- 長かったですね。ちょっと。
- 永田:
- 自分でも「長いな」と思うでしょ?
- 立川:
- そうですね。みんなをだいぶ待たせちゃったかな。
- 永田:
- でも夜社長が連れてくってのは嫌でしょ?話違うけど。
- 立川:
- え?夜・・・。
- 永田:
- 相変わらず引っ張り回されてるの?そんなこと無いの?
- 立川:
- そんなこと無いです。言うと問題が・・・。(笑)
- 永田:
- え?何で?
- 立川:
- あとで帰るとなんか怒ってるんですよ。
- 永田:
- じゃあこれはここだけの話にしておこうね。・・・勇大くんも地元に近いんじゃないですか?ここは。大挙して応援団来てるんじゃないの?
- 五十嵐:
- まだ見てないんですけどね。垂れ幕は・・・。
- 永田:
- 垂れ幕は大きいのいっぱいあったよね。
- 五十嵐:
- ちょっと・・・恥ずかしいかも知れない。
- 永田:
- 何で〜?せっかく応援団来てでかい幕張ってくれたじゃん。恥ずかしいの?
- 五十嵐:
- トップじゃなかったから。トップであれくらいだったら・・・。
- 永田:
- これから上に来ればいいじゃん。
- 五十嵐:
- 行くけど・・・。
- 永田:
- そしたら別に問題ないじゃん。ね?・・・待たせたねって話はあったけど、この後の記者会見も来てくれるよね。
- 立川:
- そうですね。行きたいですけどね。レース何があるかわかんないんでね。最後までわかんないですけど。
- 永田:
- 3番目っていうと前に2台見える訳じゃないですか。スタートする時って何を思ってるんですか?飛んでくれないかなぁとか不謹慎なこと思っちゃうわけ?
- 立川:
- (笑)そんなこと思ってないですよ。ふつうにスタート切れればとりあえずは。
- 永田:
- 自分が良いスタート切れればいいや、くらいしか思ってないの。へぇ・・・。勇大もあの位置から行きたいね。前の方から。
- 五十嵐:
- 今回いけそうだったんですけど、予選2回目に途中で止まっちゃって。
- 永田:
- 何があったの、あれは?
- 五十嵐:
- なんか、配線が切れたみたいで。
- 永田:
- 電気来なくなっちゃったんだ。
- 五十嵐:
- タイヤは、最初のタイヤでアタック中に止まっちゃって、だから新品タイヤはあるんで。
- 永田:
- さっきも亜久里さん達がここに来て、暑くなっちゃったらやっぱり新しいのが良いのかな?ここはつらいよね、って話はしてました。そうそう、抜けないって話もあったんだけど、どうなの?
- 五十嵐:
- みんな抜けるって言ってますよ。チームの人は。
- 永田:
- いかに無責任だったかわかりますね、あの二人がね。鈴木亜久里と木下ってのはね。・・・(ここでコスモオイルのキャンギャルが登場)・・・あららら・・・勇大の後ろにも来てくれよ。そっちだけかい!これは、つれてくれば良かったな。後ろに野田かなんか立ったらどう?チームメイトが。
- 五十嵐:
- 気持ち悪い。(場内爆笑)
- 永田:
- 何で・・・良いアニキじゃないか。だめなの?ここに野田が立っちゃ。傘かなんか持って。
- 五十嵐:
- あとで怒られるから。お前生意気だって言って。
- 永田:
- そうですか。でもあれだね。良いアニキはいるんだけど、もうだいぶ教わりましたから。
- 立川:
- 変なことばっかりですよ。
- 永田:
- 本当?俺堅いと思うけどな。そうでもないのかな?
- 立川:
- 誰が?
- 永田:
- 野田。
- 立川:
- そんなこと無いですよ。病気ですから、病気。
- 永田:
- 病気なの、あの人は?知らなかったなぁ。ちょっとつきあい方変えないといけないな。そうかぁ・・・。二人あたりがね、逞しくからみあいながら、もつれ合いながら、抜きながら・・・飛んじゃだめだよ、切磋琢磨しながら上に来るっていうのを思ったんだけどさ。抜けるって言ってたけど、どこが一番抜くポイントなの?
- 立川:
- どこですかね。
- 永田:
- 最終コーナーで後ろにぴったりつけて1コーナーで抜けるの?
- 立川:
- それは大丈夫だと思いますよ。あとは、裏ストレート。
- 永田:
- 裏ストレートも抜ける・・・。でも同じくらいじゃないですか?同じ車だし。
- 立川:
- あんまり差がないと難しいかも知れない。
- 永田:
- それはフルタンクの時でも空っぽの時でも同じように勝負できるの?
- 立川:
- まあ。
- 永田:
- 全然問題なく。逆に言うと、前にいたら抑えてやろうって思うの?そういうのは勇大、自信ないの?抜かせないぞみたいな。
- 五十嵐:
- いや、僕は今日は抑えることは全然考えてないです。
- 永田:
- 攻めて攻めて攻めてやろうと。それはピットに入る云々とかいうタイミングはあるけど、チームの中でそれは自分で決めるの?レースは自分で組み立てちゃうの?
- 五十嵐:
- 「感じ」で?
- 永田:
- 流れの中でね。
- 五十嵐:
- いろいろ要素はあるんですけど。前のレースどうだったかとか、そういうのでミーティングして決めます。
- 永田:
- 立川くんいつもあれだよね?後ろからスタートの時に序盤戦すぐにピットっていうのはあるよね?
- 立川:
- そうですね、まあ、すぐっていってもそんな本当にすぐっていうのはやったことないですけど、けっこう早めっていうのは・・・。
- 永田:
- 今回は、流れを見ながらじゃないと。
- 立川:
- そうですね。もちろん今回は流れを見ながら、だから「何周目」っていうのはまだ全然決めずにスタートするんで。
- 永田:
- 1戦目2戦目とかにくらべて今回は堅めのタイヤ使ってるんですけど、あれは使っててすぐにグリップ得られるものなの?タイヤウォーム使わないでそのまま置いてあるけど。
- 立川:
- 出てって1周はけっこうおっかないですよ。
- 永田:
- きつい。
- 立川:
- ピットロード出るときがけっこうおっかないですよ。
- 永田:
- それで2周目とか3周目とか良いグリップだなって感じになって来たときに、「最高だな」っていう状況は何ラップくらい続くんですか?
- 立川:
- 何ラップですかね。本当のニューとかだと、新品だとやっぱ2〜3周ですけどね。
- 永田:
- あとはいかに維持するかにかかっちゃうの?
- 立川:
- そう。
- 永田:
- さがってっちゃう訳だ。なるほどね・・・それをうまく使わなくちゃいけないんだよね。
- 五十嵐:
- そうですね。
- 永田:
- いくつ残してあるんですか?新品は1セットだけですか?
- 五十嵐:
- そうですね。だけど止まっちゃったときも2.3周しかしてないから。
- 永田:
- あまり使ってない、皮をむいた程度のタイヤは残ってると。それを使おうと。タイヤ交換入ったときには。
- 五十嵐:
- どっちが先かは・・・。
- 永田:
- まだ決めてない。・・・立川選手、スタートは新品なんですか?
- 立川:
- え〜、違います。どういうルールでしたっけ?
- 永田:
- とってあるの使うんじゃないですか?
- 五十嵐:
- 何でも良い?
- 永田:
- とってあるの使うの?新品は今保管してある1セットしか残ってないんでしょ?
- 五十嵐:
- 無いよ。
- 立川:
- あんまルール分かってないんで。
- 永田:
- あ、それじゃオーナーと一緒だ。オーナーね、スタート時間知らなかったし。何周走るかも知らなかったもんね。似たようなもんだね、ドライバーもね。あとはもう流れに任せて、と。で、監督が言うこと、バテさんが言うことを聞くんですか?それとも自分の方で行かしてくれって言うんですか?
- 立川:
- え?何がですか?予選?
- 永田:
- 予選とか、レースも。
- 立川:
- 聞いたり聞かなかったり。
- 永田:
- その時の状況で。聞かない時ってどういうとき聞かないんですか?前の日いじめられた時とか?
- 立川:
- いや、そんなことないですよ。(笑)そういうのは関係ないです。その時の状況で。
- 永田:
- 今だったら、自分で判断して、聞かない方が良いぞ、みたいなのがあるんだ。五十嵐選手はどうですか?自分で組み立ててくんですか?
- 五十嵐:
- レース始まったら、けっこう「今入って良いですか?」みたいに聞いて、「いいよ」みたいな。
- 永田:
- ある程度流れは、頭の中でレース組み立てて回ってるんだよね。
- 五十嵐:
- まあ、事前に「こういう場合はこう」って決まってるから。
- 永田:
- だいたいの約束事は決めてあるんだ。
- 五十嵐:
- そうですね。だいたいの「何も無かったときはこう」とか。
- 永田:
- あと無線とかラジオとか使ってなんか言ってきません?「今入れ」とか「もうちょっと我慢しろ」とか。
- 五十嵐:
- それはない。
- 永田:
- それはあんまり無いんですか。
- 立川:
- ありますよ。ピットの方から見てて、前とか後ろとのマージンとか考えてるんで、今タイヤ交換したらピットからコースインしたときに前後の車の位置がどうだ、とかそういうのも一応計算してもらってるんで。
- 永田:
- そうか。すぐ前の車とかすぐ後ろの車とかは分かるけど、全体の流れをうまく・・・。
- 立川:
- タイヤ交換して出ていったはいいけど、混雑の中に入っちゃったら全然意味が無いんで。
- 永田:
- 全体の流れをチームで見てもらって、それを聞きながら自分の中でレースを組み立てていく。・・・今日は、最初の話に戻るけれど、来てくれるよね。表彰台に。
- 立川:
- はい。
- 永田:
- 待ってていいよね。
- 立川:
- そろそろ行きたいんで。
- 永田:
- 勇大はポイントは取ってくれるだろうな?
- 五十嵐:
- がんばる・・・けど・・・がんばります。
- 永田:
- ファンのみなさんに約束してよ。応援団も来ることだし。
- 五十嵐:
- まあ、抜けるだけ抜いて、楽しいレースをすれば良いかな。
- 永田:
- きっと二人の走りを見て、みなさんが感動して「やっぱフォーミュラニッポン面白いよ。もう1回行ってみよう」っていう気になってくれるようなレースを二人はしてくれると思うんで。いろいろお話を聞きたいんですけど、時間が来てしまいましたので・・・。どうもお二人、ありがとうございました。ほんとに来るんだからね、表彰台に。
- 立川:
- はい。
- 永田:
- それではどうもありがとうございました〜。(二人退場)
土曜日(省略気味(^^;)
結果予選4番手、この結果は立川選手自身にとってもかなり良い結果であったと思う。
確かにトラとの差はあるが、その後ろとの差はほとんど無い。菅生は抜きづらいサーキットかもしれないが、茂木で見せたようなパフォーマンスがあれば、表彰台はおろか、その頂点すら可能なポジションだといえた。
日曜日
スタート前にグリッドに行ってみた。
ピットウォール前に座り、マシンを凝視する....しかし、写真撮影には応じていた。(このへんが偉いといえば偉い)
緊張のスタート。
出遅れた。回りのスタートは無難な感じだったので、これはミスか。上位グリッドのプレッシャーか。
しかし、ペースは悪くない。しっかりとついて行ける。しかし、その前のほうのトラは相変わらず独走態勢....手がつけられない。
どんどん縦長の展開になってきた。
しかし、その中で立川選手のペースはその時点でトラ並みのペースになっている。返す返すもスタートのミスが痛い....
レースは中盤、まもなく道上の背中が見えてくる。このコースでオーバーテイクするためにはやはり1秒以上の差は欲しいだろう。と、なるとやはり追いついた時点でピットインするのが得策だと考えられる。
そして、道上の背中が見えた。その差は1秒になった。
やはりそこですかさずピットイン。
ピット作業は、平凡、しかし確実であった。6秒くらいか?
どこに出るかが問題....計算上、既にピット作業を終えている本山選手の前後か?
そしてピットアウト、もどかしい速度制限でピットを抜ける....ピットの出口は 2コーナーの先だ。
と、ここで本山選手が1コーナーを通過。なんとか本山選手の前には入ったが、出口付近での差は 2秒程度。
タイヤウォーマーのない FNではタイヤ交換直後のラップタイムは5秒落ちる場合もある。(立川選手もトークショーで「おっかない」と言っている)
私はこのタイミングでは、この周回のうちに本山選手に抜かれて帰ってくると思っていた。本山は「ここ」というときはさすがに鋭い突っ込み見せる。タイヤが温まっていない立川選手には勝ち目は無い。
が、次のラップ。先に戻ってきたのは立川選手であった。
しかし、ここで抜かなければ抜くチャンスが無くなる本山選手は1コーナーで勝負に出る。イン側を抑える立川選手、アウトから並ぶ本山選手。
2台はサイドバイサイドのまま、2コーナーをクリア、そして3コーナーでは立川選手が抑え切り、前にいた。
が、その次のヘアピン手前。さらにインをついた本山選手と立川選手のマシンは絡み、アウトにコースアウトしていく....
ぐはぁ....やられた。
正直私はそう思った。3コーナー立ち上がりでは立川選手が前だった。
直感的に私はタイヤ交換したばかりのマシンを抜けなかった本山が焦ったのだ。と感じた。
なんとかコースに戻り、走り始める 2台。しかし、その間数台のマシンがその脇を通過していっている。
PitFMでは「立川選手のマシンはサイドポンツーンが....」と言っている。あれだけのアクシデントだ。マシンにダメージが無かったとしたら、運が良いとしかいえない。
そして無理矢理次のラップに戻ってきた立川選手のマシンは左のサイドポンツーンのカウルが吹き飛び、ラジエーターが露出。しかもあらぬ方向を向いている....
終わったな。
案の定、次のラップで立川選手はピットに戻り、そしてマシンを降りた。
残念な結果となってしまった。
レースは続き、本山のマシンはダメージが無かったのか走りつづける。トラは逃げる。荒れた展開のレース、2位にはファーマンが居た。
レースが終わり、私はパドックに行ってセルモ裏の様子をうかがっていた。
立川選手は、意外とさばさばした表情でインタビューに応じ、談笑している。
その笑顔には「あれはしょうがないのだ」という思いがあったのではないかと私は感じた。
帰宅して問題のシーンをビデオでチェックする。
1,2コーナーの攻防はすさまじく、おそらく軽い接触はあるのではないだろうか。
そして確かに 3コーナーでは立川選手が完全に前に居る。これは間違いが無い。
しかし、よく見ると3コーナー立ち上がり、立川選手のマシンは安定性がなく、テールをスライドさせているように見える。タイヤが温まり切っていないからグリップが無いのだろう。そしてヘアピンに向けた加速が鈍っているのだ。
本山選手はそれを見逃さなかったのだと思う。だから、インをさした。それはレーサーとしてあたりまえだと思う。
そして立川選手は極悪にインを閉めているという動きをしていない。
こういう場面に出くわすと、私は必ず逆の立場を考えることにしている。
すなわち、本山選手が3コーナーの立ち上がりが鈍り、立川選手がその直後に居たならば。である。
きっと、同じ結果になったのではないか。
逆にいうと、あそこでインを刺してこないドライバーに私は興味が無いし、それ以前のつばぜり合いで決して(自分のタイヤが不利でも)引かないドライバーにも興味が無いのである。
本山選手はインタビューに「立川君がわかっていると思うけど」といっている。これはきっと3コーナー立ち上がりのことを言っているのだろう。「ヘアピンでインを刺された原因はそこにある」と。
立川選手はインタビューで「どうしようもなかった」と答えている。
確かに悔しい。あのアクシデントが無ければ、1-トラ、2-立川、3-本山の結果があったと思うし、あの場面で本山選手に先にいかれていても、立川選手はそれを抜き返すだけの勢いがあったと思う。
しかし、レースにタラレバはない。
本山選手が言うように「お互いもったいなかった」レースになってしまった。
残念ではあるが、今シーズンの立川選手のよさ(変に遠慮(?)してないところ)が如実に現れたレースだったのではないか。と思う。